栃木の景勝百選に指定されている西明寺を訪れました。国重要文化財の三重塔は1538年建立とされます。三枚の屋根の均等な反り具合が雄大に見え、オオワシ三羽が空中で縦一列で羽ばたいているような錯覚に陥りました。国重要文化財の楼門は1499年完成したものと伝えられ茅葺きの入母屋造りです。境内中央に位置する重厚感のある建造物です。閻魔堂に安置されている栃木県文化財の木造閻魔王坐像は1633年作で歯をむき出して大笑いしています。益子町文化財の太子堂は江戸時代中期の建造物で、堂内には沢山の石造りの弘法大師様がおられました。栃木県天然記念物で、とちぎ名木百選に指定されているコウヤマキは推定樹齢800年、樹高30ｍで北関東最大のものです。古強者は見るからに頑強な感じがします。言葉は話しませんが寺の歴史を見守ってきた生き字引でもあります。栃木県文化財の本堂は1394年建立で銅板葺き寄棟造りの建造物です。威圧感があり本堂らしい佇まいをしていました。本堂に上がり国重要文化財の本堂内厨子(1394年建立)、栃木県文化財の本堂厨子内仏像群(鎌倉時代作で如意輪観音菩薩坐像だけ室町時代作)を見学しました。黒漆塗りのツヤの良い豪奢な建物で、こちらも屋根の反り具合が際立っている他、扉の文様もさり気なく良いです。納められていた仏像群8体は、錚々たるメンバーが揃っていて睨みをきかしていました。金色の輝く中で厨子の色が落ち着いて見える現実離れした空間を味わうことができました。

• 訪問日：2020.02.19