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おすわりについて
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相談者/トモタンのママ 回答日/7月15日
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| 来月の9日で1歳になる息子がいます。いまだにおすわりが出来ません。おすわりをさせようとするけどどうしても後ろに倒れてしまいます。ハイハイもできずにずりバイです。でも、つかまり立ちが出来ます。このままおすわりが出来ないと療育センタ−に行くことになりそうです。でもその前に座ってほしいと願っています。どうすればおすわりが出来るようになるのでしょうか。アドバイスをお願いします。 |
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| ある発達が遅いと思われるが、それが正常範囲の中での遅れ(要するに正常範囲)かどうかについて考える場合、具体的には以下の3項目のどれかになります。つまり、(1)ある発達項目が常識的な個人差の範囲を超えている場合(2歳での歩行開始など)、(2)発達が正常小児の発達順序とは異なる場合(お座りした後にはいはいしないで、すぐつかまり立ちするなど)、(3)ある発達段階の期間が常識的な期間とは異なる場合(お座り後、すぐつかまり立ちをし、歩行してしまうなど)などです。(1)の中でも、意味のある単語(10ヶ月前〜3歳すぎ)、歩き始め(10ヶ月すぎ〜2歳すぎ)、排尿排便のしつけ(おむつがとれる)(1歳ごろ〜3歳ごろ)などは正常範囲の幅がもともと非常に大きく、発達における個人差としてよく知られています。
正常範囲の中での遅れ(normal variation)の診断として、以下の項目が重要と考えられます。(1)それ以外の発達が正常であること(2)脳障害の原因となるような既往歴がないこと(3)神経学的診察、検査でも異常がみられないこと(4)検査(CT、MR、EEG、EMGなど)で器質的異常を疑う所見が存在しない(5)頭囲が正常であること(乳児期では平均より-2.5cm以上、幼児期では平均より-3cm以上を小頭傾向とする。平均より-5cm以上はまず小頭症と判定してよい)(6)そのような家族歴があること、などです。(6)があればまず正常範囲の遅れと解釈しますが、(6)がなくても、他の条件がある場合には正常範囲の遅れ(生理的な遅れ)を疑って経過を観察することになります。 お座り以外の発達はいかがでしょうか。脳障害の原因となるような既往歴(出生時のエピソードを含む)はありませんか。例えば、妊娠中の感染症、不正出血・切迫流産、重症妊娠中毒症、分娩障害(仮死、遷延分娩)、低出生体重児。重症黄疸、新生児期のけいれん・哺乳障害・無呼吸・チアノーゼ・低体温、頻回嘔吐などです。特に頭囲、その他身長、体重など身体発育は正常でしょうか。粗大・微細運動などの発達は正常でしょうか。家族の方で、乳児期同じようにお座りができるのが遅かった人はいませんか。 はいはいの最初は、腹を床につけたまま臍(へそ)付近を中心に回転する(ピボット)ことから始まります。その後腹這いで後ずさりをする動作がみられるようになり、その後9ヶ月頃に、クロールのような動作で、腹を床につけたまま四肢を交互に動かして前進することが可能となります(crawling)。その後手と膝で前進する膝這い(creeping)、手と足で這う高這い(熊歩き)(高這いを膝這いの意味で使用することもあります)ができるようになります。その他、両下肢をそのままにして両肘をついて移動する肘這い(hauling)(scooting)、両腕・両足を揃えて同時に屈伸しバタフライに似た這い方、側臥位のままでの這い方、完全に背臥位でバックストロークのような動作で移動する背這い、座ったままの姿勢で手やお尻を使ってずって移動するいざり這い(ずり這い・座り這い)(shuffling)などを得意とする場合もあります。這い始めの時期は、6ヶ月からの場合や、10〜11ヶ月になってようやくできる場合がありますが、10人に1人は、はいはいらしい動作を全くしません。 這い型とお座り、歩行開始時期との関係をみた報告があります。高這いをする児では、お座り、歩行開始時期ともに通常と差はありませんでしたが、お子さんのように肘這いをする児では、お座りは6〜12ヶ月(平均9ヶ月)、歩行開始は15〜27ヶ月(平均20ヶ月)と通常よりやや遅れる傾向があり、この成績ははいはいをせずに寝返りで移動する児とほぼ同じでした。後に述べますが、いざり(這い)をする児がお座り、歩行開始時期ともに明らかに遅れました。 全ての子供はお座り→始歩が大原則です。通常は(寝返り)→お座り→(はいはい)→始歩ですが、本質的順番ではありません。例えば、(寝返り)、(はいはい)の両方、または片方が全く見られない場合、始歩→(寝返り)または(はいはい)の場合などがあります。 お座りが遅れる原因として、筋緊張が低下している場合と筋緊張が亢進している場合があります。正常範囲のものとして、前者ではshuffling babyや良性筋緊張低下症があり、後者では、反り返りの強い乳児や体・下肢が硬い感じがする乳児の場合などです。 いざり(這い)をする児をshuffling baby(いざりっ子)といいます。その特徴は、(1)つかまり立ちが12〜14ヶ月、歩行開始が18〜24ヶ月と遅れる傾向がある(最大の特徴)、(2)定頚(首のすわり)は遅れないが、寝返りはほとんどせず、はいはいに関しては遅れるか、はいはいをほとんどしないままでつかまり立ちをして歩行するようになるか、歩行し始めた後にはいはいをすることもある(2番目の特徴)、(3)うつぶせ(姿勢)を嫌う(3番目の特徴)、(4)お座りの姿勢から脇の下を抱えて体を持ち上げると、両側の脚はお座りの姿勢のまま腰で曲げた状態で空中に上がってくる空中浮遊の姿勢をとり、下肢を突っ張ろうとしない、(4番目の特徴)、(5)言葉の理解はよいが発語が遅れる傾向がある(5番目の特徴)、(6)shuffling baby(いざりっ子)の家族歴があり得る、(7)体を折り曲げると踵が耳についてしまう(double folding)、腕が首にスカーフの様に巻きつく(scarf sign)、両側の腋窩に手を入れて抱き上げようとすると両肩・両腕が上に上がってしまう(loose shoulder)などの筋緊張低下傾向がみられるが、両股が180°開いて両脚が床にべったりくっついてしまう(frog position)程度までは筋緊張は低下していないし、筋力低下はない(8)支えなしでひとりで座れるようになるのが8〜13ヶ月(健常児で7〜8ヶ月)と遅れる傾向がある(ほとんど遅れず、正常範囲という報告もあります)、(9)下肢は上肢・躯幹に比べ細く、腱反射はやや亢進している、などです。またずり這いの時やずり這いの姿勢から立位に移る時などに左右差がみられることがあります。手の動きの発達は標準であり、筋力低下はなく、言語理解は標準であることが診断上重要であり、月齢が多くなるにつれ下肢を下に降ろすようになり体重を支えるようになり、発語や始歩は遅れますが正常にできるようになり、最終的には正常発達を遂げることが多いといわれています。足で蹴ることを覚えさせるために歩行機を使用する、うつぶせを嫌がる児に対しては、クッションのようなものを下にして腹這いをさせる、などの方法が有効なことがありますが、本質的なものではありません。ただお子さんの場合は、shuffling babyではなさそうです。 良性筋緊張低下症では筋緊張が低下しているため、定頚、お座り、寝返り、はいはい、立つことなどが遅れます。ただし、手の動きの発達は標準であり、言語理解は標準です。始歩は1歳6ヶ月をすぎますが、その後は明らかな問題を残しません。 筋緊張の低下はありませんか。既に述べたように、体を折り曲げると踵が耳についてしまう、腕が首にスカーフの様に巻きつかせることができる、両側の腋窩に手を入れて抱き上げようとすると両肩・両腕が上に上がってしまうなどがみられませんか。筋緊張低下が著明だと、両股が180°開いて両脚が床にべったりくっついてしまいます。全身の筋緊張が非常に低下しているフロッピーインファント(ぐにゃぐにゃ、ふにゃふにゃ乳児)で、以下の場合は、小児科を受診して下さい。1歳6ヶ月になってもお座りができない場合、2歳になっても歩行できない場合、筋緊張低下だけでなく、哺乳力不良、啼泣微弱、体動不活発、言語理解が悪い、手指の動きの発達が遅いなどの内どれかが見られる場合、両股が180°開いて両脚が床にべったりくっついてしまう(frog position)程度まで筋緊張が低下している場合などでは、その中に筋肉疾患(福山型先天性筋ジストロフィーなど)、先天性代謝異常(糖原病、ミトコンドリア脳筋症など)、中枢・末梢神経障害(脊髄性筋萎縮症など)、Prader-Willi症候群、脳性麻痺、精神遅滞などの疾患が隠れている可能性があるからです。 次に筋緊張が亢進している場合について考えます。2〜5ヶ月頃までは、首、上体は前に曲げる機能よりも後ろに伸ばす機能の方が先に発達するため、後ろに反り返る結果となります。この傾向が強いと背這いとなります。この場合、反り返りに左右のねじれを伴わない、仰臥位で頭を正中位に保つことができる、手を前に出したり、両手を前で合わせることが可能である、首の左右への立ち直りが十分である、手の動きの発達は標準であり、下肢の動きがよく、表情の発達がよい、などであれば良性の反り返りであることがほとんどです。このような場合、抱っこがとてもしづらい、うつぶせでは腕が前に出せず不安定な姿勢になる、引き起こし反応でも反り返りが強く、時にたってしまうことで異常と判断され易い、お座りが遅い、などがみられます。 下肢が硬い感じがする乳児では、股関節は伸展、膝関節は屈曲という組み合わせ(またはその逆)、股関節と膝関節は伸展しているが足首を屈曲する組み合わせ、下肢の関節(股、膝、足)が いろいろな姿勢をとり動かせる、(例えば、うつぶせでは股関節は伸展させ膝関節は自由に伸展・屈曲させる、抱っこでは股関節は屈曲し膝関節は自由に伸展・屈曲させる、など)などができれば問題がないことが多いようです。 以上から、筋緊張低下であっても亢進であっても、手指の動きの発達が遅い、言語理解が悪い、その他(哺乳力が不良、啼泣が微弱、泣いてばかり、体動が不活発、非常に驚きやすい、表情の発達が悪い、頭囲の発達が悪いなど)のどれかが見られる場合は、疾患が隠れている可能性があるため小児科を受診して下さい。 脳性麻痺は念のため、否定しなければなりません。おむつ交換、入浴、抱く、着せ替えなどに際して、いつも泣いて嫌がったり児の体が固く感じられませんか、清拭のためなどに手を開かせようとしてもいつも困難でいつも手を固くにぎっていませんか、冷たいものを食べた時、口がすぐに開かないことはありませんか、くしゃみをした時、眼瞼がすぐに開かないことはありませんか、上体を支えるといつも下肢を突っ張って立ってしまいませんか、下肢を交叉したり、バレエの足のような尖足になっていたり、足関節の背屈(足背を脛の方に曲げる)がしにくくありませんか。ポイントは、上記の決まった状況下ではいつも同じように固くなること(筋の緊張の亢進といいます)が見られることが、異常所見として捉えるためには必要です。また脳性麻痺では、背筋の緊張が亢進しており、お座りは上体が反って座れませんが、ベッドの端に腰かけさせてあげると、座れるようになります。私たちは神経学的診察においては、引き起こし反射で座骨が支点とならずに反ってしまい、身体が棒のように立ってしまう、垂直抱きで下肢が伸展・尖足位をとり、そのままピョンピョンさせると増強する、背臥位水平抱きで反リ返ってしまうなどが認められれば、それを陽性所見として、さらに詳細な検査を進めることにしています。 |
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