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まつ毛の治療は必要ですか?
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相談者/ぴぴまま 担当相談員/上山先生(小児科医)
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| 今週で3ヶ月になる息子ですが、目にゴミが入っているのかと思ってよく見たら、下のまつ毛の目頭の方が目の中に向いていました。涙や目やになどの症状はまだないのですが、今のうちに何か治療を始めた方がいいのでしょうか? |
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| 瞼縁は2〜3mmの幅があり、前瞼縁には睫毛(約10mmの硬毛で、上眼瞼には100〜150本、下眼瞼には約半数がある)が、後瞼縁の直前には瞼板腺であるマイボーム氏腺(脂腺であり、角膜表面を濡らす涙液の表面に広がって涙液フィルムの蒸発を防ぐ)の導管の開口部が一列に並列しています。睫毛の毛根の周囲には知覚神経叢があるため敏感で、塵が触れると角膜や結膜にあたる前に眼裂を閉じてそれを防ぐ働きをしています。
眼瞼の運動を速やかに行うために、同部の皮膚は瞼縁に近づく程薄くなり、瞼縁では1mm以下と身体中で最も薄くなり、つまめる程余裕があります。また日本人は、眼輪筋と瞼板と皮膚との間の結合が緩やかで、かつ眼瞼が厚いため、一重眼瞼が多く眼瞼を反転しやすく、眼輪筋が瞼縁に向かってずれやすいため、眼瞼が内反しやすいという背景があります。欧米人は同部の結合が強く、眼瞼が薄いため、二重眼瞼が多く反転しにくいようです。 開瞼は、上眼瞼挙筋、上・下瞼板筋の作用により、上眼瞼を挙上し下眼瞼を僅かに引き下げることによりなされます。閉瞼では、瞬目には眼輪筋(眼瞼部)が、強く閉瞼する場合には眼輪筋(眼窩部)が使用されます。上眼瞼挙筋は動眼神経、眼輪筋は顔面神経支配です。 角膜に睫毛が接触する可能性として、睫毛の生え方自体は正常ですが眼瞼縁が内方に傾斜(内反)するために睫毛が角膜の方を向く場合や、眼瞼縁は内反していませんが、睫毛の発生角度、発生部位が異常である場合があります。いずれにしても睫毛が角膜に接触しているため、角膜に傷が生じ、結膜を刺激して結膜炎を起こし、流涙、異物感、羞明、充血、眼脂などを訴えることになります。 まず、前者の眼瞼が内反する場合として、乳児で圧倒的に多いのは皮性内反です。いわゆる睫毛内反症(逆さまつげ)です。乳幼児の顔はふっくらとして鼻柱も低いため、頬部の皮膚が過剰になり、睫毛が横圧されて内方に向かうもので、下眼瞼の特に鼻側に多くみられます。下方視の際に特に著明となります。成長とともに顔が発育して自然治癒することが多く、手術の適応になることは少ないようですが、1〜2歳を過ぎても改善しない場合は、それ以降の自然治癒の可能性は低いため、手術の適応になります。親子にもみられ遺伝性と考えられますが、自然治癒するものが多いため、その遺伝形式は不明でのままです。その他の眼瞼内反をきたす疾患として、トラコーマ、ジフテリアなどによる瘢痕性内反、老人性内反、弛緩性内反などです。また稀ですが、先天性の眼瞼内反症があり、これは瞼板の彎曲、瞼板筋の付着異常などの形成異常に起因するものです。 後者の睫毛の異常では、睫毛重生、睫毛乱生、異所発生などがあります。睫毛重生は、先天的に睫毛が2列(前瞼縁と後瞼縁)に生えているものです。後瞼縁は直接眼球結膜に触れる部位であり、同部から発生した睫毛が角膜を刺激することになります。その異常発生は一列というよりは、通常1〜2本の発生です。睫毛乱生は、主に後天的疾患(眼瞼縁炎、熱傷、トラコーマ、皮膚粘膜眼症候群、流行性角結膜炎(小児重症例)など)により、炎症が睫毛の毛嚢部に波及し、瘢痕収縮するため睫毛の生え方が乱れ、睫毛の一部が角膜に向かうものです。睫毛の異所発生は、眼瞼縁炎やスティーブンス・ジョンソン症候群などの影響で、瞼板腺開口部などに睫毛が異所性に発生するものであり、異所性の睫毛が角膜を刺激します。いずれにしても、治療は数回毛根を電気分解し、睫毛を抜去することになります。 また重要な鑑別疾患として、眼球突出症(先天性緑内障、眼窩腫瘍など)があります。眼球が突出するために角膜が睫毛に触れるようになり、発症します。 2歳以下でも、充血や羞明などの症状が遷延する場合は、眼科専門医に紹介し、漫然と点眼療法を続けることは厳に慎むべきであると考えられています。特に先天性緑内障などにおいて、病初期に非特異的な結膜症状のみが表出する場合があるからです。また本症が放置された場合には、弱視、角膜混濁、睫毛乱生の原因になることがあります。睫毛の抜去は一時的に症状の改善は得られても、毛根が残って再生するため根治的でなく、手術適応の判断の妨げともなりかねません。さらに睫毛を誤って途中で切断すると、断端が眼表面を刺激し、かえって症状を増悪させることにもなります。以上から逆さまつげぐらいと軽く考えずに、最初から眼科専門医を受診し、定期健診を受けた方がいいかもしれません。 |
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